エッセイ

2016-01-28
(第3292話)チョット中休み エッセイvol.125 社交ダンスが上手くなる教室・展望(6)~奇跡はすでに始まっている!?〜 

前回の続き。

父、危篤。
小康状態のまま、夜が明けた。

午後、父のいる病院へ、
認知症施設にいる母が、緊急入院してきた。
父と同じ、肺炎。
しかも、重篤な状態という。

病院に向かう車中、ヒデくんが、うなる。
「こんなことって、ある!?
聞いたこと、ないわ」

運転のミキヒコさんも、
「スゴイことですねぇ。
何か、深い意味があるんでしょうねぇ。
そうとしか、考えられない事態ですねぇ」

ワタシは、後部座席でややぐったりだ。
ヒデくんが、ワタシを気遣う。
助手席から、後ろに振り向き、一言。
「大丈夫?」

動揺していないか?
(睡眠不足で)カラダが、きつくないか?
悲しくないか?

いろんな、想いが混じっている。

「大丈夫よ」

「よっしゃ」

ヒデくん、ワタシの気持ちを全て汲み取ったようだ。
いや、尋ねるまでもなく、知っていただろう。
ワタシが、展開の速さに驚きながらも、
さほど動揺していないし、
苦しんでも悲しんでも、いないことを。
それどころか、
未だかつて経験したことのない、
高揚感に満たされていることを。

きっと、シンクロだ。
父と母は、同調したのだ。

父が母を呼んだのか、
母が父を呼んだのか・・

これは、ひょっとしたら、ひょっとするぞ。

と、ヒデくん、ワタシの気持ちを察したように
「もし、お母さんも一緒に亡くなったら・・・
ホンマ、奇跡、やで」

奇跡、か。

そう呼べる事態は、
もうすでにこの時点で始まっていることに、
ワタシは気づいていた。

ワタシたちが“東京”から帰った次の朝、
父の容体が急変。
危篤になった。
帰阪後、1週間・・・
ワタシたちが時間に余裕があるのは、ソコだけだった。
少し時期がズレると、
フェスタやワークショップ準備で忙しくなるのを、
まるで、知っていたかのようだ。
いや、もっと凄いことには、
あらゆる効果も考え合わせると、
ワタシ的“一生・スケジュール”の中で、
ココしかないといったピンポイント・タイミングだった。

ヒデくんが、免停中・・・これにも意味がある。
そのため、ミキヒコ・出動となったからだ。
免停でなかったら、ヒデくんとワタシだけで動き、
ミキヒコさんは、遠くから見守る体制を取っていただろう。

実は、
父、母ともに、ミキヒコさんをよく知っている。
「娘の危機を救い、助けてくれたことに、
ものすごく感謝している」
だから、最後にお礼が言いたかったはずなのだ。
が、簡単には会えない関係になっていた・・・

この辺りの詳しいモロモロは、後に、明かそう。

車が、病院に到着。
まず、父の様子を見舞った。
ヒロコのダンナと、次男が付き添っていた。
依然、小康状態。
ほとんど、様子は変わっていない。

ここから10メートルと離れていない病室に、
母がいるという。
ヒロコが、つきっきりなのだそう。
さっきも、点滴の針を抜こうと暴れて、
大騒ぎだったらしい・・・

ワタシは不思議に思った。
「暴れる?
危篤、じゃないの?」

驚いた。
カラダの状態は非常に悪いのだが、
なんと、それを認知していないというのだ。

一体、どんな様子なのだ?
イメージがつかめないまま、
ヒデくんと、母の病室へ向かった。

ワタシは、正直、怖かった。
認知症になった母に会うのが、初めてだったからだ。

母は、すでに、母でなくなっているはず。
ワタシのことも、認識できない可能性は高い。
どんな気持ちになるのだろう?

ドアを開けた。

と・・・

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2016-01-28 | Posted in エッセイNo Comments » 
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